投稿

2月, 2022の投稿を表示しています

相続放棄をした際の財産管理制度の見直し

イメージ
静岡市の弁護士の若狹秀和です。 今回は「相続放棄」と法律改正のお話です。 そもそも「相続放棄」とは? 民法には「相続放棄」という制度があります。 「相続放棄」が認められると, その人は初めから相続人にならなかったものとみなされ,亡くなった方の財産をプラスもマイナスも相続しないこと になります。 勘違いされている方も珍しくないのですが,相続人(例:AさんとBさんの2人しかいない場合)同士で「Aさん:自分が全て相続しますね」「Bさん:自分は何もいらないです」という遺産分割協議がまとまった場合,Bさんの対応は法律上の「相続放棄」ではありません。 「相続放棄」の要件 「相続放棄」をするためには,以下の3つの要件が必要で,家庭裁判所に必要書類を提出する必要があります。 相続の開始があったことを知った日から3ヶ月が経過していないこと(※裁判所が認めれば延長可) 相続の単純承認及び限定承認をしていないこと 法定単純承認事由がないこと 1については, 「知った日から」3ヶ月 というのがポイント です。 「お父さんが亡くなって半年経ったら,家族が誰も知らなかったのお父さんの借金の請求があった!」というケース でのご相談が時々ありますが,その場合でも相続放棄ができる場合が十分ありえますので,亡くなられてから3ヶ月を経過していても諦めずに・焦らずにまずは弁護士等の専門家に相談してください。 3については,主に「相続財産に手をつけてしまった場合」に問題になることが多いです。 一般的に経済的な価値を有するものを取得した場合に該当しますが,形見分けなど,判断が微妙なケースもあります。 なお,保険金の受取人が相続人とされている場合,保険金は法律上の「相続財産」には該当しないので,「単純承認」にはあたりません。 民法第940条第1項の改正 さて,2023年4月,その「相続放棄」に関連して地味ながら大切な法改正がある予定です。   [改正前] 相続の放棄をした者は, その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、 自己の財産におけるのと同一の注意をもって,その財産の管理を継続しなければならない。(下線部引用者) [改正後] 相続の放棄をした者は, その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き