「住所を調べられますか?」

はじめまして。

静岡市の弁護士,若狹秀和です。

さて,相続に関する法律相談に際し,開口一番このように聞かれることがあります。

「●●年連絡を取っていない親族の●●がいます。どこに住んでいるか,生きているかどうかもわからず,相続の手続きができなくて困っています。現在の住所を調べることはできますか?」
たしかに,住所調査は,弁護士や司法書士の仕事のイメージとしてあまりないかもしれません。

結論から言うと「できます」。
とはいっても,最初から足を使って調査するわけではありません。

「戸籍法」という法律で,弁護士・司法書士・税理士などの専門職は,業務上必要な場合などの一定の条件を満たせば,対象者の戸籍や住民票などを取り寄せることができると定められています。
そこで,「戸籍の附票」という「その戸籍が作られてからの住所が記録されている書類」を取り寄せて,住民票上の住所を突き止めるのです(あわせて,戸籍を確認すればご存命かどうかもわかります)。ちなみに,専用の請求用紙があり,1枚1枚シリアル番号が入っているので,悪用ができないようになっています。
住民票上の住所がわかれば,ほとんどの方には連絡がつきます。

ただ,私が過去に取り扱った案件で,住民票上の住所を突き止めたところ,10年以上も前から更地になっていたことがありました。
そのような場合はどうするでしょうか?

対応としては大きく3つ考えられます。
何かしらの生活の痕跡があれば弁護士会を通じて行政機関や警察,携帯電話会社などに照会をして調査を行う。(付随して現地調査も行います)
確実にご存命ではあるけれども行方不明の場合,家庭裁判所に手続きを申立て,「公示送達」という方法で裁判所の掲示板に一定期間掲示して,法律上送達したという扱いにする。(すごく時間がかかりますが,海外に住んでいる人宛に「公示送達」を行う場合もあります。)
他に全く手がかりがなく,ご存命かどうかもわからない場合,家庭裁判所で「失踪宣告」という手続きを行い,戸籍上亡くなった扱いにする。

ということで,状況によっては時間と手間がかかる場合もありますが,このように法律が整備されているので,100%確実とまでは言えませんが,非常に特殊なケースを除けば何かしらの方法で相続手続きを進めることはできるのです。



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